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【パナソニックパンサーズ】永野 健選手

この選手に注目!!
 コートに立つ選手の中で、唯一、得点を取ることができないポジション。
 だが、それはあくまで「自分の攻撃で」得点を取ることができないだけで、自分の役割を果たすこと、つながらないと思うようなボールをつなぎ、勝負するスパイカーに声をかける。それだけで「得点を取らせる」ことはできる。
 リベロというポジションに、永野健(パナソニックパンサーズ)は誇りを持っている。

 パナソニックパンサーズの内定選手として、合流直後の07/08シーズンにすぐさまV・プレミアリーグデビューを果たした永野は、抜群のレシーブ力や、堅実なサーブレシーブ、そして新人らしからぬ存在感で、チームにとって欠かせない絶対的な守護神としてコートに立ち続けて来た。

 大学生でリベロになったばかりの頃は、なかなか役割に徹しきることができず、時には、サーブレシーブは返っているのに、負ければ「サーブレシーブが返らないから」と言われることに反発を覚えることもあった。だが、V・プレミアリーグという国内最高峰の場所で経験を重ねるうち、少しずつ意識に変化が生まれた、と永野は言う。

 

「自分のパフォーマンスがどうだったとか、どれ位の数字が出た、というのは全く関係ない。たとえ自分のプレーが悪くても勝てばいいし、自分のプレーがどれだけよくても負けたら意味がない。チームのために、勝つために何が大事なのかが、少しずつわかってきて、周りを生かすことがバレーの楽しさなんだと思えるようになりました」

 

 勝利のために、周りを生かす。それは、周囲の選手たちの声を聞けば、次々に浮かび上がってくる永野の姿でもある。
 たとえばパナソニックで長年に渡りともにプレーするエースの清水邦広は「中途半端な攻撃をしたら『何やってんだ』と罵倒される。

 

でも永野さんがいつもそうやって厳しくしてくれるおかげで、迷わず、安心して攻めることができる」と言い、セッターの深津英臣は「得点を取れなかったり、ミスをして、マズイ、と思うとその不安をすぐ見抜かれる。『今はこっちだろ』と言われて、やっぱりそうか、と整理することができる。永野さんが後ろにいてくれるだけで、チームが引き締まる」と言う。
 唯一無二の存在感。それが、近年の強いパナソニックを支えて来た源でもある。

 

 全日本選手も多く、周囲からは「勝って当たり前」と見られるチームであり、だからこそ勝ち続けることの難しさを知るのがパナソニックであり、永野でもある。特に6位に終わった昨シーズンは、終盤になっても「これがチームの形だ」という確固たるものを確立することができないまま終わった苦しいシーズンでもあった。

 

 だからこそ、と「王座奪還」に向けて、より一層強い決意と意志を持って臨んだのが2015/16シーズンだ。ワールドカップでの活躍を受け、これまでよりも多くの観衆や注目を集める中でのシーズン、V・レギュラーラウンドでは豊田合成と東レに苦杯を喫したが、東レとのファイナル3を制し、2シーズンぶりのファイナルへ。初優勝を狙う豊田合成との決戦は、フルセットまでもつれ込む大熱戦となったが、あと一歩がわずかに及ばず、初優勝の歓喜に沸く豊田合成の姿を、悔しさを噛みしめながら見る。試合を終え、コートを足早に去ると、少し笑みを浮かべながらも、言葉の中に宿る無念さ…。

 

負けるたび、世界のパワーと高さに屈する、と言われる。いや、日本人はそんなにヤワじゃない。イゴールという世界トップクラスのオポジットを擁するチームにこそ、日本人の組織力で勝てるんだと見せつけたい。その思いが、あふれ出た。
「悔しいとか、負けたくないとかいうだけじゃなく、絶対負けちゃいけない試合だった。日本のバレー界のためにも、これからの選手のためにも、絶対勝ちたかったです」

 

 V・プレミアリーグ制覇という目標を達成することはできなかったが、リベロとして、1人の選手として、そして日本を背負う代表として、絶対に負けられない戦いが再び始まる。

 5月28日に開幕するリオデジャネイロオリンピック世界最終予選は、永野にとってまさに、すべてをかけて臨む戦い。きっと1球1球が、すべての一瞬が見逃すことのできない戦いになるはずだ。

 
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