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ブレない指揮官、中田久美がチームに与える存在感

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 昨シーズンに続いてリーグ連覇を果たした久光製薬スプリングス。他チームを圧倒する強さの背景には、鉄壁のディフェンス力と、選手、スタッフが一丸となったチーム力の高さもさることながら、チームを最強軍団に導いた、指揮官の存在が色濃いものであることは周知のとおりだ。

静かなる闘将

 V・プレミアリーグ女子チームを率いる他チームの監督の多くが、ベンチに座ることなくコートに近い位置に立ち、一喜一憂し、時にはベンチで待つ選手たちのもとへと歩み寄り、指示を出す。そんな光景が多数を占める中、中田久美監督は立たない。
 常に表情を変えず、静かにベンチに腰を降ろし戦況を見守る。
 なぜか?

 その理由を、今シーズン、チームのキャプテンを務めた石田瑞穂が明かした。

「どうして久美さんは立たないんですか? と一度聞いたんです。そうしたら『監督が表情を変えたり、ジタバタする姿を見せたら不安になるでしょ。だから私は絶対に動かない。いい時も、悪い時も、同じように試合を見ているから』と。確かに、相手に追い上げられたりリードされたりすると不安になることも多いですが、それでも久美さんがドーンと座っていてくれる姿を見ると、チームが安心できたのは確かです」

 現役引退後に解説者や、指導役を務める中で、周囲を一喝する“熱血漢”というイメージが強すぎたせいか、中田監督が就任後、多くの人が静かに座り、大声を出すことなく1人1人に指示を出す姿を意外と感じた人のほうが多かったはずだ。

 

 それはおそらく、久光製薬の選手たちも同様で、若手選手の中には接する前の中田監督に対する印象を問われ、「どれだけ怖い人なんだろう、と思っていたし自分は絶対に口を聞いてもらうこともないだろう、と思っていた」と吐露した選手もいた。しかし中田監督と実際に接するようになって間もなく、その不安は杞憂(きゆう)に終わったという。

 

優勝賞金ボードを持って帰る仕草をする中田監督に選手がツッコミを入れるお茶目な一面も

「試合に出る選手だけじゃなく、久光製薬の選手全員に対して同じように接してくれる。練習以外の時には冗談を言ったり、リラックスした空間をつくってくれるのがすごく嬉しいし、すごいな、と思うんです。練習中も怒ったり、注意することがめったにない分、1つ1つの言葉が沁みる。強いチームを作る監督というのは、こういう人のことなんだな、と久美さんを見ているといつも感じます」

 

ピンチでもチャンスでも変わらない中田監督の姿が安心感を与える

 中田監督自身は、どれだけ勝っても「自分は何もしていない」と謙遜する。

 指揮官就任元年となった昨シーズンは、自身も模索しながら指導に努めてきたというが、2年目の今シーズンは特に選手たちに対しても「自立」を促し、今まで以上に必要最低限の声をかけることしかしなかった。

 選手を信じて、自主性を重んずる。監督からすれば、決して容易いことではない。中田監督にとっても我慢を強いられるシーズンとなった。

 

「連覇をするために、アジアチャンピオンになって世界と戦うためには、自立した選手でなければなりません。本当はもっと声をかけて、こうしたほうがいいよ、と道を示してあげたほうがいいのかもしれない。でもそれでは一段階上に行くことはできません。私は常に選手たちに『世界と戦う気持ちを持ちなさい』と言い続けています。それを実践するためにも、たとえ壁にぶつかったとしてもそこからどう乗り越えるか。それぞれがどんな風に壁と向き合い、対処するのかを少し離れたところから見守っていました」

 

連覇を達成した愛弟子たちと笑顔で抱き合う

 1つ1つのプレーに一喜一憂しないからといって、ともに戦う気持ちがないわけではない。それどころか、誰よりも強い気持ちをコートに向けているにも関わらず、その熱さを秘めて、静かに見守る。
 その姿が、選手にとって何よりも大きな勇気になったと新鍋理沙は言う。
「レシーブがうまくいかないなら、攻撃で頑張ればいい。攻撃が決まらないなら、レシーブを頑張ればいい。すべてを求めるのではなく、何か1つでもいいものがあるなら、それを信じればいい、という久美さんの姿勢や言葉があったから、1シーズン、つらいと思うことがあっても乗り切れたんだと思います」


V・プレミアリーグ連覇に続き、アジア覇者となった久光製薬。来シーズンはさらなる高みへ。

 国内の主要タイトルを総なめにした昨シーズンを経て、今シーズンは天皇杯・皇后杯とV・プレミアリーグの連覇と、アジアクラブ選手権を制し、アジア№1になるという目標を達成した。

 絶対的な信頼感のもと、最強軍団がこれから更にどんな進化を遂げるのか。静かなる闘将の、熱い戦いの行方から目が離せない。

 
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