登場人物

プレさん元バレーボーラー。そのレベルは自称全日本クラス、バレー業界にも知人が多く、大のバレーボール通。 スポーツとスポーツマンを愛するどこにでも居そうな50代の男性。今年から、近所のジュニアチームの監督をしている。 最近は姪のミヤちゃんとのバレーボール談議が何よりも楽しみとなっている。

ミヤちゃん20歳になったばかりのプレさんの姪っ子。 バレーの経験はないが、最近プレミアリーグのとりこになっているちょっとミーハーっぽい女の子。

リーやん関西出身、プレさんの古くからの友人でバレーおタク。バレーボール経験はないが、バレー観戦歴は長い。奥さんはママさんバレーボール選手で、子供はプレさんが監督をするジュニアチームのキャプテンをしている。

グっさんスポーツ刈りでスポーツ用品店を経営している。幅広い人脈があり、辛口のスポーツ批評と豪快な笑い声で周囲を盛り上げる。


(前回のつづき、いつもの地鶏焼き屋で)

まあ、そうせかせないでよ。とりあえずビールやおつまみの注文をしてから。(といって、女将の方をちらっと見る)リーやんはビールかな?グっさんは?

(熱気を冷めさせたいのか・・・)おいらは冷酒だ。とっとと話の続きをしてくんな!(やっぱりせっかちな関東人)

わたしは、カシスオレンジにするわ。


(飲み物と料理を注文して、みんなを見回してから)

第5回Vリーグ(1998/99シーズン)の男子は、開幕から松下電器が飛び出してねー。レギュラーラウンドを、開幕から14連勝して17勝1敗の成績で1位通過したんだよ。

そら、強かったでー。スーパーエースに宮崎謙彦がいて、イェルツェン、南部正司の両エース、センターの白数仁孝、米山博之の攻撃力は、群を抜いとったでー。(得意満面・顔面紅潮)セッターは紫和、リベロ小糸・・・(当時のスタッフまで全員覚えているのを披露する)

宮崎のジャンプサーブは、恐怖だった。当時はジャンプサーブで連続得点を取れる選手は、少なかったからな。いわゆる静から動。レフェリーの笛のあと、独特の間を置いて静まりかえった館内にボールの音が響きわたる!スピードとパワーのあるサーブに観客は魅了されたもんだ。

おーそうそう、ミスも派手だった!味方のブロックカーなんぞ、後ろから頭直撃されるのビビッてたしな。(いきなり手を水平にリーやんの顔まで持って行きながら)向こうの観客席までどーーん、ってのもあったな、がははっ!

えーっ、それがどうしてファイナルで負けちゃったの?

本当の理由は判らないげど、ひとつの「キーワード」がある。

キーワード?きわーどいいいかたなねー(と、オヤジギャグ)

なんでぇー。調子いいこといいやがって、判らねぇのかよ。(冷酒を一気飲み)

『勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし』って言葉を聞いたことあるだろ。

プロ野球「楽天」のノムさんが良く使う言葉だろっ!(ちょっと得意顔)

勝ち試合の勝った理由は、分析しにくいことが良くあるし、試合後のミーティングでも「今の調子を持続しようぜ」というような漠然としたものになり勝ちなんだ。それに、修正点に気がついていても、勝っている時は、なかなか修正できないものだよ。
それに比べると、負け試合では、敗因を具体的に出来るし、勝つために思い切った修正やトライがやりやすい。

わかるなぁ。パチンコとかギャンブルで、買ったときは自慢話しするげど、、負けた話はあんまりせんしなー。

意味の分からんツッコミを入れるな!
でー、第5回の場合に当てはめると、どうなんだ?

このシーズンは、レギュラーラウンド終了からファイナルラウンドまで、2週間あったんだ。この1週間試合が空いたことによって、流れが変わったんではないかと見てるわけだよ。

1週間空いたことが明暗を分けたんかいな。条件は、みんな一緒やと思うけどなー。

優勝したNECは、何がうまく行ったってこと?

順調に勝ってきたチームと、追いかけるチームの微妙な心理状態が関係していると思うね。

この時は、順調に勝ってきたのは、松下電器で、追いかけるのがNECとサントリー、東レよね。

レギュラーラウンド12勝6敗の4位で通過したNECとしては、上位チームとの対戦成績がイマイチで、起死回生の大逆転には大胆な戦術が必要じゃなかったかと思うよ。その代表的なものが、ベテラン選手・センター泉水智とセッター糸田信幸を絶妙なタイミングでの起用だった。東レも内定選手の加藤陽一の積極的活用や、レギュラーシーズンのリベロ関浩司からアタッカーの松本岳士を抜擢し、守りとつなぎを固めてきた。

へぇーっ。面白いわ。

勝ち進んでいるチームは、負けることを考えていない。早く試合をやりたい。早く試合の日が来ないかなと、自信満々でひたすら体調面だけのコンディショニングに努めている。
追いかけるチームは、反省の上に逆転するには大胆な発想や戦術を仕掛けてくる。むしろ、追い込まれているから心理的には充実してくるし、技術面やフォーメーション練習など目的のある練習が出来る。大逆転するためにの練習に、試合の無い1週間の間隔を有効に使うことになる。

勝ちに飢えているチームにとっては、勝つための目標や目的がはっきりしているから、追い込んだ練習が出来るってことね。

そーなんだろーなー。監督が巧く目標設定して、選手を導いたんじゃないかな。それで追うものの強みが出たんじゃーないかな。

余裕が転ぶ、必死が立ち上がる!って言ってな、これが勝負の世界よ!

いい言葉ね。すごく当てはまっている!それも野村さんが言ってるの?

違う、違う!オレの造った言葉よ!(と、一瞬ムッとし、またガハハと大笑い)

(ちょっと心配顔になり)第8回Vリーグ女子の東レアローズにも当てはまるんかいな。

もちろん、ひとつの要因、あるいは仮説だけど、このときもレギュラーラウンドとファイナルのが2週間空いていたんだ。当てはまるかもね。

おじさんの分析ってすごいわ。そんなふうにある局面を想定したり、内面まで想像して試合を見たことはないわ。これからは、そんなチームや選手たちが、次の試合までにどんな風に変化しているかも観察しながら見てみるわ。またひとつ観戦の楽しみが増えたわ。
今年も、女子は1週間空くけど、東レが不利なのかしら。(興味津々顔で)

それやー、そーだろう!(と、人指し指を下げながらまたリーやんの顔に近づける)

(急に色めき)そんなことあらへん!今シーズンは違んや!

リーやんのいうとおり。1週間の試合間隔が空いたことは、今までに何度もあって、いつも逆転が起きたわけではないよ。ひとつの例として監督の腕の見せ所ということが言いたかったんだ。

それやー、そーだろう!当たりめぇよ。勝ち負けは風呂に入るまで分らねぇってことよ。

何、それ?

よかった。そらそうや。


・・・いつの間にか店は満員御礼状態となり、お互いの話し声がかき消されるほどのにぎやかな店内であった・・・


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