登場人物

プレさん元バレーボーラー。そのレベルは自称全日本クラス、バレー業界にも知人が多く、大のバレーボール通。 スポーツとスポーツマンを愛するどこにでも居そうな50代の男性。今年から、近所のジュニアチームの監督をしている。 最近は姪のミヤちゃんとのバレーボール談議が何よりも楽しみとなっている。

ミヤちゃん20歳になったばかりのプレさんの姪っ子。 バレーの経験はないが、最近プレミアリーグのとりこになっているちょっとミーハーっぽい女の子。

リーやん関西出身、プレさんの古くからの友人でバレーおタク。バレーボール経験はないが、バレー観戦歴は長い。奥さんはママさんバレーボール選手で、子供はプレさんが監督をするジュニアチームのキャプテンをしている。

グっさんスポーツ刈りでスポーツ用品店を経営している。幅広い人脈があり、辛口のスポーツ批評と豪快な笑い声で周囲を盛り上げる。

(ジュニアチーム関係の会合のあと、いつもの地鶏焼き屋で)

(グっさんに向かって)最近、景気はどう?

ダメだよ〜。少子化の影響で、売り上げがガタンコよ。バレーのボールも少子化ってやつで、ボールもサポーターも売れやしねぇ。

じゃぁ、わがチームは大のお得意さんということだ。

感謝・感激・雨・アラレ、って言いてぇとこだが、ボールも品質が良くなり長持ちするようになりやがって、買い換えねえんだ。昔、売り出したころのパンストみてぇなもんだ!

せいぜいいっぱい練習して、お世話になるようにしますよ。
ところで、リーやんは、今までのVリーグで一番印象に残っている大会は?

やねー。(天井に漂う煙を眺める)一番印象に残る大会と言われてもナー、一つに絞るのはゴッツ難しいんヤケド、最近ではサントリーが5連覇を達成した2003/04シーズン(第10回Vリーグ)のことは忘れられヘンわ。

そうそう。すごいリーグだったよね。

あたぼーよ!(思わず身を乗り出す)青森の奇跡だろ。ありぁー笑っちゃうし、面白かったよな!

(得意げに)レギュラーシーズンの残り1試合ちゅうとこで、4位のNECから7位のサントリーまで、10勝10敗で並びヨッテナ。(下の表)

残り1試合時点での成績 試 合 セット
順位 チーム名
1位 JTサンダーズ 12 8 43 31
2位 松下電器パンサーズ 12 8 41 42
3位 堺ブレイザーズ 11 9 40 37
4位 NECブルーロケッツ 10 10 44 36
5位 豊田合成トレフェルサ 10 10 42 37
6位 東レアローズ 10 10 37 38
7位 サントリーサンバーズ 10 10 37 39
8位 旭化成スパーキッズ 5 15 26 50

そう!新青森県総合運動公園(青い森アリーナ)での第1試合で、サントリーが松下電器を3-1で破って11勝目を上げたけどセット率で劣るサントリーはあきらめていたんだ。

NEC、豊田合成、東レの3チームのどこかが勝てば、サントリーより上位になる可能性が高かったサカイ。

サントリーは第2試合は見ねぇで、とっと帰り、空港に居たんだってよ。(ガッハと大笑し、お通しのほうれん草を一気に口に放り込む)

ところが、東レはJTに負け、NECは堺に負け、豊田合成まで最下位の旭化成に負けちゃったものだから、11勝のサントリーが4位に浮上してファイナル進出を決めたんだ。
青森空港で監督・選手たちは、知らせを聞いてところ構わず大歓声を上げた、ということだ。

(プレさんの話を遮るように)そんでな、セミファイナル、ファイナルと調子を上げて、とうとう優勝。5連覇の偉業達成ということやで。(関西チームの話題で嬉しさいっぱいの口調)

とんでもねぇことが起きちまったよなー。だがなー、稀に見る波乱のリーグだったよなー。あんときの選手はみんな良い顔してた(しみじみと)

サントリーには5連覇中、MVPや他の賞を独り占めしたジルソンというスーパースターがいたからね。彼のここぞというときの爆発力は、チームの集中力でもあった。

(一同うなずく)

じゃぁ、女子で一番印象に残っているのは?

女子のことは、おいらに任せろ!(ビールを一気に飲み干す)
やっぱりなー、1999/00シーズン(第6回Vリーグ)のNECレッドロケッツの21戦全勝の優勝だろー。このシーズンからラリーポイント制にルールが変わってよ、その前の年からリベロ制が始まって、新しいルールにいち早くなじんだチーム作りよ。リベロに抜群の守備力の津雲博子を置いて、ライトに大貫美奈子、レフト大懸郁久美(現姓:成田)、センター美田麻衣に、前年度新人賞のセンター杉山祥子、新人のレフト高橋みゆき、セッター竹下佳江が操るコンビバレーは、圧倒的な安定感と強さをでよ、その上、レシーブとつなぎが完璧で、ボールが見方のコートに落ちねぇんだよ。そりや〜強かった!(と、鼻の穴を広げ、お返しとばかりに関西人のリーやんを見る)

(ここでミヤちゃんがやってくる)

ミヤちゃん、いらっしゃい。

チケット買ったかい。

おじさんの言うとおり買ったわよ。いい席が取れたわ。おじさんありがとう。
何のお話していたの。(手前の席に座る)

いやねー。印象に残るVリーグの大会は?っていうからよー、NECの完全優勝の話をしていたんだよー。(まだまだ話したりないような感じで)あぁー、サントリーの5連覇もちょいと話したけどな。
それにしても、あんなチームは2度と出ねぇだろーなー。しかしよ、なんで連覇がねぇんだろーなー。女子は。大体、近頃はどこも似たようなチームになっちまってねえか?

そうねぇ、世界的な流れで攻撃型のチームが増えたし、今のような短期決戦のファイナル方式になってから、コンディション作りの難しさもあるし、ラリーポイント制ではデータバレーを駆使しての番狂わせも多くなり、なかなか連覇がしにくくなっているのよ。一発勝負の宿命かな?

なんでー、おい、おい。ミヤちゃん、いつからそんなに詳しくなったんだい。おいらの上前をはねよって勢いだなー。

ホンマヤ。(珍しくグッさんに同調)

うふふっ。おじさんたちの知らない秘密の情報源があるのよ。(カバンからパソコンを取り出す)

今年も波乱の予感がするんヤケド。自分らどう思うー。

(つっかかり口調で)根拠あんのか?(最近、西高東低のチーム順位にイラッときているグッさん)プレさん、お前さんどう思う?

女子は、レギュラーシーズンが終了してセミファイナルまで1週空いているだろ。ここがポイントになるかもしれないんだ。

なんてー?どういうことナン?!

てやんでー!どういうこっでー?!

ミヤちゃんが言ったろう。コンディション作りが難しいって。1週間空くことによって、その過ごし方次第では、体調やメンタル面を上昇させるチャンスだし、逆に停滞・後退にもなる危険もあるってことさ。つまり、毎週連戦のシーズン中とは違うコントロールやマネジメントが選手には必要で、そこが監督、コーチ、スタッフの腕の見せ所なんだと思うよ。

ほぉーっ…

(ちょっと通ぶって、人差し指を立てながら)いい例が第5回Vリーグ(1998/99シーズン)男子ファイナルと、第8回Vリーグ(2001/02シーズン)女子ファイナルだ。男子は、まさかの松下電器とNECの底力。女子は東レの失速と久光製薬のミラクルって伝えられていることがある。

(関西人らしく)ナンや、それ。もったいぶらんと、詳しゅう聞かせてナー。(今リーグ勢いのある関西のチームに関する嫌な話題に涙眼になる)

(関東人らしく)上等だー、聞いてやろじゃーねーか!(関東のチームの逆襲を期待し、血気ばむ)

・・・みんなが話しに夢中になり、お酒や料理の追加注文が無いのを、奥の方から冷ややかな眼で見るお店の女将・・・   次回に続く


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